――失敗を経て確立した“設計型伴走”という経営モデル


第5章|最初の大きな失敗

想いだけで走った独立直後

独立直後の私は、とにかく前に進むことだけを考えていた。
「動けば何とかなる」
「まずは形にすることが大事だ」

そう自分に言い聞かせ、営業に出続けた。月に20社以上を回り、提案資料も毎回つくり直し、夜遅くまで準備を重ねた。行動量には自信があった。

しかし、数字は思うように伸びなかった。

商談では手応えがある。
「いいですね」と言われる。
それでも契約には至らない。

何が足りないのか分からないまま、さらに行動量を増やした。だが結果は変わらなかった。

今振り返れば、私は“走っている自分”に安心していたのだと思う。動いていれば不安をごまかせる。しかし、動き方を間違えていれば、距離は伸びない。

最大の問題は、事業の設計が曖昧だったことだった。


需要の解像度が甘かった

当時は月30万円程度の安定収入を見込んで事業設計をしていた。
しかし、3か月で契約は1件のみ。売上は想定の半分以下。

固定費は確実に出ていく。
通帳残高は徐々に減る。

夜、自宅で何度も数字を計算し直した。
「あと何か月持つだろうか」
その問いが頭から離れなかった。

行動はしている。
だが、相手の優先順位を深く理解できていなかった。

ある経営者に提案したとき、こんな言葉をかけられた。

「山岸さん、熱意は伝わる。でも、今のうちには“今やる理由”がまだ弱い。」

その瞬間、視界が少し開けた。

私は「良いサービス」かどうかばかりを語っていた。
しかし相手にとって重要なのは、「今それを導入すべき必然性」だった。

需要の解像度が粗いままでは、いくら熱量があっても契約にはつながらない。


熱量よりも設計

この失敗から学んだのは、熱量は武器にはなるが、設計がなければ刃にはならないということだった。

それ以降、私は必ず三つを確認するようになった。

① 今、本当に困っているか
② 予算と決裁タイミングは明確か
③ 導入後の成果イメージを言語化できているか

この三つが揃わない限り、前に進まない。

提案数は減った。
しかし成約率は体感で二倍以上に上がった。

重要なのは数ではなく、確度だった。

動く前に設計する。
それが経営を安定させる最初の転換点になった。


第6章|再現性を手に入れる

全部追わないという決断

以前の私は、すべての案件を追いかけていた。
少しでも可能性があれば提案する。

しかし、それでは思考が分散し、判断が曖昧になる。

現在は、案件を三つに分類している。

・今月動く案件
・来月以降の可能性案件
・保留案件

そして、今月動く可能性が高いものに集中する。

この単純な整理だけで、エネルギーの使い方が劇的に変わった。
成約率は体感で約1.5倍に安定した。

「全部やる」は一見誠実に見える。
だが本当の誠実さは、「やるべきことを見極める」ことにある。


補助金は手段であって目的ではない

補助金支援の現場でも同じことが言える。

多くの事業者は「通すこと」に集中する。
しかし採択はゴールではなくスタートだ。

私は必ず「通った後」を先に設計する。

導入するITツールは何か。
どの業務がどう変わるのか。
売上にどう影響するのか。
半年後の数字はどうなっているべきか。

ここまで描けないなら、申請しない。

その姿勢を徹底した結果、直近2年間で申請案件の約8割が採択された。

だが重要なのは採択率ではない。
導入後に事業が動き続けることだ。

補助金はアクセルではない。
エンジンを整えて初めて加速できる。

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